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2022.05.8

【AGA治療について】AGAの原因とは?

薄毛は男性の深刻な悩みの一つで、薄毛に悩む方は全国に約1,200万人もいると言われています。薄毛にはいくつかの原因が考えられますが、その中で主な原因はAGA(男性型脱毛症)です。AGAは進行性の症状であり、原因を理解した上で正しい治療が必要となります。

そんなAGAの原因について、この記事ではメカニズムや遺伝的要素など詳しく解説していきます。

AGAは進行性の男性型脱毛症

AGAは「Androgenetic Alopecia」の略で、日本語では「男性脱毛症」と訳されます(「Androgen = 男性ホルモン」「Alopecia = 脱毛症」という意味)。

AGAは男性に最も多く見られる脱毛症で、額の生え際や頭頂部の髪の毛が細く短くなり、少しずつ髪の毛が薄くなっていくのが特徴です。

AGAは思春期を過ぎた男性なら誰もが発症する可能性があり、日本人男性の発症率は20代で約10%、30代で約20%、40代で約30%、50代で40数%と年齢とともに高くなります(1)。

また、AGAは進行性であることが知られており、一度発症してしまうと自然に治ることは決してありません。そのため、薄毛が気になり出した場合は、なるべく早く専門医を受診し、治療を始めることが大切となります。

AGA発症のメカニズム

AGAは男性ホルモンの「テストステロン」と酵素の「II型5αリダクターゼ」が結合した「ジヒドロテストステロン(DHT)」が毛根に作用することで進行します。

通常のヘアサイクル(毛周期)は大きく「成長期」「退行期」「休止期」に分かれ、「成長期」において髪の毛は最も活発に育まれます。通常は約1000〜2000日かけてヘアサイクルが1周しますが、AGAの発症でヘアサイクルが乱れると髪の毛の「成長期」が最短100日程度と極端に短縮されてしまうのです。

AGAの詳しいメカニズムは以下の通りです。

① 「テストステロン」と酵素の「II型5αリダクターゼ」が結合

② 「ジヒドロテストステロン(DHT)」が発生

③ 男性ホルモンレセプターが「DHT」をキャッチ

④ 脱毛因子「TGF-β」が増加

⑤ 「TGF-β」が毛乳頭細胞に退行期移行へのシグナルを発信

AGAの原因は2つの遺伝的要素

AGAの発症には様々な要因がありますが、中でも遺伝的要素による影響が大きいと言われています。代表的な要因は以下2つです。

・II型5αリダクターゼの活性度

・男性ホルモンレセプターの感受性

どちらか一方もしくは両方の要因を遺伝的に受け継いでいる場合、AGAを発症する可能性は高くなります。

■II型5αリダクターゼの活性度

酵素の「II型5αリダクターゼ」は男性ホルモンの「テストステロン」と結合して原因ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」を生成します。そのため、「II型5αリダクターゼ」の活性度が高い場合、AGAの原因ホルモンが過剰に生成されやすいので、AGAを発症しやすくなるのです。

「II型5αリダクターゼ」を活性化させる遺伝子は優勢遺伝と言われており、父親・母親のいずれかが遺伝子を持っている場合、遺伝する可能性が高くなります。

■男性ホルモンレセプターの感受性

男性ホルモンレセプターはAGAの原因ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」をキャッチして、脱毛因子「TGF-β」を増加させます。そのため、男性ホルモンレセプターの感受性が高い場合、DHTをキャッチして脱毛因子を増やしやすいので、AGAを発症しやすくなるのです。

男性ホルモンレセプターの感受性は隔世遺伝すると言われており、祖父母以前の世代の遺伝子が世代を超えて引き継がれる可能性があります。つまり、両親が薄毛かどうかに関わらず、先祖に薄毛の方がいる場合に男性ホルモンレセプターの感受性を引き継ぐ可能性があるのです。

特に、母型の家系から遺伝することが多いと言われているため、母型の家系に薄毛の人がいると、その子孫はAGAになる可能性が高くなります。

AGA以外の脱毛原因3つ

男性が薄毛になる原因として一番多いのはAGAですが、それ以外の原因でも薄毛になる可能性はあります。代表的な原因は以下3つです。

・ストレス

・食事・生活習慣の乱れ

・ホルモンバランスの乱れ

■ストレス

長時間ストレスがかかるとホルモンバランスが乱れ、皮脂の分泌量が多くなって頭皮環境の悪化に繋がります。頭皮環境の悪化は抜け毛に繋がるため、ストレスが原因となって薄毛になる可能性があります。強いストレスは自律神経のバランスを崩してしまうのです。

また、ストレスを受けると血管が収縮すると言われており、毛細血管への血流が悪くなる可能性があります。頭皮には毛細血管が多く存在するため、血流が悪化すると薄毛へと繋がる可能性があります。頭皮の血流は髪の毛に栄養を与えるだけでなく、代謝物を排出する重要な役割を担っているのです。

■食事・生活習慣の乱れ

食事・生活習慣の乱れは、髪の毛の成長を妨げる要因となるため、薄毛に繋がる可能性があります。

髪の毛を作り出すためには栄養素が必要であり、特にタンパク質や亜鉛など特定の栄養素が重要な役割を担います。これらの栄養素は食事から摂取する必要があるため、食生活が乱れると髪の毛の生成に必要な栄養素が損なわれ、髪の毛が充分に成長できなくなるのです。

また、睡眠不足などの生活習慣が乱れることで、頭皮環境の悪化に繋がる可能性もあります。頭皮環境は髪の毛を育てる土壌であるため、健康な髪の毛には健康な頭皮が不可欠なのです。

■ホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランスが乱れるとヘアサイクルが乱れ、髪の毛が充分に成長する前に抜けてしまう可能性があります。

前述した通り、ヘアサイクルは「成長期」「退行期」「休止期」に分けられ、通常は約1000〜2000日かけてヘアサイクルを1周します。しかし、ホルモンバランスが乱れてヘアサイクルが乱れると、髪の毛は成長期からすぐに退行期へ以降して抜けていってしまうのです。このホルモンバランスの乱れはAGAの要因にもなると言われています。

ホルモンバランスを整えるには「バランスの良い食事を摂る」「充分な睡眠時間を確保する」「適度な運動を行う」「腸内環境を整える」など、生活リズムを整えることが大切です。

医学的根拠に基づいたAGA治療

AGAは進行性の男性脱毛症であるため、治療をせずに放置すると髪の毛はますます薄くなっていきます。進行度合いによりますが、AGAには医学的根拠に効果が認められた治療薬が存在するため、悩んでいる方は早めに検討しましょう。

代表的な治療薬は以下の2つです。

・フィナステリド

・ミノキシジル

■フィナステリド

フィナステリドはAGAの原因となる男性ホルモンの生成を抑制し、AGAの進行を予防する効果があります。

AGAは男性ホルモンの「テストステロン」と酵素の「II型5αリダクターゼ」が結合した「ジヒドロテストステロン(DHT)」が原因となって進行しますが、フィナステリドには酵素の「II型5αリダクターゼ」を抑制する効果があるのです。

そのため、結果としてAGAの原因ホルモンであるDHTの生成を抑え、乱れたヘアサイクルを正常に戻す効果が期待できます。

フィナステリドの効果をいつから感じるかは個人差がありますが、少なくとも4~6ヶ月程度の継続服用が必要だと言われています。継続服用による高い発毛効果は日本人男性を対象にした研究でも示されています。

 

>>フィナステリドの効果・副作用の記事へ

■ミノキシジル

ミノキシジルは「血流促進」「毛母細胞の活性」「育毛・脱毛抑制」により発毛を促す効果があります。

血流促進:頭皮の血管が拡張されて髪の毛の栄養や老廃物が運搬されやすくなる

毛母細胞の活性:髪の毛を作る「毛母細胞」を活性化させて髪の毛を増やす

育毛・脱毛抑制:髪の毛を作る「毛母細胞」の死滅を防ぐ

ミノキシジル配合のAGA治療薬には、内服薬のタブレット型と外用薬のローションタイプがあり、内服薬の方が発毛効果は高いとされています。しかし、副作用のリスクから2022年時点で内服薬の国内承認は出ていません。服用する場合はリスクを理解し、専門医による管理の元で行うようにしましょう。外用薬は内服薬に比べて安全性が高く、国内で承認されています。

ミノキシジルの効果をいつから感じるかは個人差がありますが、少なくとも4~6ヶ月程度の継続服用が必要だと言われています。ミノキシジル(外用薬)の継続使用による高い発毛効果は日本人男性を対象にした研究でも示されています。

>>ミノキシジルの効果・副作用の記事へ

AGAの原因まとめ

この記事では、AGA(男性脱毛症)の原因について、メカニズムや遺伝的要素も踏まえて詳しく解説しました。AGAには医学的根拠に基づいた治療法がいくつか存在するため、なるべく早く専門医を受診して治療を行いましょう。

監修医師

TOSHIYA ISHIYAMA
石山 敏也

2014年順天堂大学医学部卒業後、順天堂大学医学部附属順天堂医院に勤務。19年より、新島診療所村医に就任。20年スキンシアクリニック副院長に就任。日本内科学会認定医産業医

参考文献

(1) 板見 智, 日本人男性における毛髪(男性型脱毛)に関する意識調査, 日本医事新報 (4209), 27-29, 2004-12-25.

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