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2022.02.6

【AGA治療薬】フィナステリドの効果と副作用

薄毛は男性の深刻な悩みの一つで、薄毛に悩む方は全国に約1,200万人もいると言われています。薄毛の主な原因であるAGA(男性型脱毛症)には効果が認められた治療薬がいくつかあり、その中の一つが「フィナステリド」です。

そんなAGA治療薬の「フィナステリド」について、この記事では効果や副作用など詳しく解説していきます。

フィナステリドは薄毛の予防薬

薄毛の主な原因として知られているAGAは進行性であり、フィナステリドはAGAの進行を抑える効果があります。AGAによって乱れたヘアサイクル(髪の毛が生え変わる周期)を正常な状態へ戻す効果が期待できるのです。

フィナステリドの特徴は主に以下の3つ。

・薬の種類が多い

・安全性が高い

・価格が安い

■フィナステリドは薬の種類が多い

フィナステリドを含むAGA治療薬は特許権存続期間満了に伴い、ジェネリック医薬品(後発品)が多く存在します。元々アメリカのメルク社が「プロペシア」という名前で販売していましたが、2015年に特許期間が満了となり日本企業を含む多くの企業がジェネリック医薬品を発売しています。

日本企業が多く販売していることからも安心して利用しやすいと言えるでしょう。国内に流通するフィナステリドとしては、「沢井製薬(日本)」や「ファイザー(アメリカ)」など大手薬剤メーカー製の流通量が多いです。

■フィナステリドは安全性が高い

フィナステリドは世界的に安全性が認められており、アメリカのアメリカの医薬品管理局「FDA」や日本の厚生労働省からも認可を受けています。今では最も基本的なAGA治療薬として多くの国で認可を受けているAGA治療薬です。

元々、フィナステリドは前立腺肥大症の治療薬として研究が開始されたのですが、試験中に発毛効果も認められたことからAGA治療薬としての開発も進められました。その後、1997年にアメリカの医薬品管理局「FDA」からAGA治療薬として承認を受け、2005年には厚生労働省の認可を受けて、日本でも販売されるようになっています。

■フィナステリドは価格が安い

フィナステリドはジェネリック医薬品が多く発売されていることから、販売価格が比較的安いと言えます。ジェネリック医薬品は先発医薬品のように一から医薬品を開発する必要がないため、研究開発に莫大な費用を必要としません。

また、医薬品の効果や安全性が先発医薬品と同等であることが分かっているため、発売後の医薬品の効果や安全性の確認に費用を必要としないのです。このような背景から、節約された費用が医薬品の価格低減に繋がっています。

フィナステリドの効果

フィナステリドはAGAの原因となる男性ホルモンの生成を抑制し、AGAの進行を予防する効果があります。AGA治療における最も一般的な治療薬と言えるでしょう。

AGAは男性ホルモンの「テストステロン」と酵素の「II型5αリダクターゼ」が結合した「ジヒドロテストステロン(DHT)」が毛根に作用することで進行します。(詳細な仕組みは「AGAの原因」解説記事へ)

フィナステリドには酵素の「II型5αリダクターゼ」を抑制する効果があるため、結果としてAGAの原因ホルモンであるDHTの生成を抑えることができるのです。

■フィナステリドの効果はいつから?

フィナステリドの効果をいつから感じるかは個人差がありますが、少なくとも4~6ヶ月程度の継続服用が必要だと言われています。

これは乱れた髪の毛の成長サイクルを正常に戻すために必要な期間であり、継続服用による高い発毛効果は日本人男性を対象にした研究でも示されています。

414名の日本人男性を対象とした試験では以下のような結果が示され、3年間の継続服用で78%の方に改善が見られています(1~2)。

フィナステリド1mg/日の継続服用

・1年間→58%が改善

・2年間→68%が改善

・3年間→78%が改善

また、別の研究では、801名の日本人男性を対象としてフィナステリド1mg/日を5年間継続服用した場合に、99.4%の症例で効果が得られたという結果もあります(3)。

フィナステリドの副作用4つ

フィナステリドは臨床試験において副作用の発現が認められています。ただし、フィナステリドの副作用の発現率は低く、比較的安全性の高い薬と言えます。

フィナステリドの主な副作用4つとその発現率は以下の通りです。

・性欲減退(1.1%)

・勃起不全(0.7%)

・肝機能障害(0.2%)

・うつや気力低下(稀な症状)

発生確率は低いため過敏になりすぎる必要はありませんが、健康に影響を及ぼす可能性があるため、医師の診療のもと治療を継続することをおすすめします。

それぞれの副作用について、以降で詳しく解説していきます。

〇性欲減退(1.1%)

フィナステリドを服用することで性欲が減退し、セックスレスになる可能性があります。性欲にどれほど影響を与えるかは個人差があり、それほど影響がない場合もあるでしょう。

〇勃起不全(0.7%)

フィナステリドが勃起機能に影響を与えることで、勃起が起こりにくくなる可能性があります。性的興奮を覚えても勃起しにくくなるため、結果的にセックスレスや男性不妊に繋がる場合もあるでしょう。

〇肝機能障害(0.2%)

フィナステリドは肝臓で分解されるため、服用を続けることで肝機能障害が起こる可能性があります。フィナステリドに限った話ではなく、医薬品のほとんどは肝臓で代謝されるため、肝臓に負担をかけ過ぎると悪影響が出る場合もあるでしょう。

〇うつや気力低下(稀な症状)

フィナステリドを服用することで、稀に気分が沈んだり、原因不明な不安に襲われる可能性があります。精神面に大きな影響を与えるため、ライフスタイルに大きな影響を及ぼす場合もあるでしょう。

フィナステリド服用上の注意点5つ

フィナステリドは医薬品のため、用法用量を守って服用しなければなりません。フィナステリドの服用にはいくつか注意点があります。

■女性の服用は禁忌

フィナステリドの効果が認められているのは男性のみで、女性には効果が認められていません。また、妊婦や妊娠の可能性がある女性および授乳中の女性による服用は禁忌です。男子胎児の生殖器官などの発育に影響を及ぼす可能性があります。

■錠剤を割るのは危険

フィナステリドの安全性が保証されないため、錠剤を割って服用してはいけません。フィナステリドの錠剤は表面がコーティングされているため、通常の扱いで有効成分に触れることはありません。しかし、錠剤を割ると薬の服用者以外が有効成分に触れる可能性があるので危険です。

■肝機能障害のある方は注意

フィナステリドは肝臓で代謝される医薬品のため、肝機能障害がある方の服用は注意が必要です。肝機能障害がある方は医師の診察の上で服用した方が良いでしょう。服用によって肝臓に負担がかかり、肝臓の酵素が上昇する場合があります。

■個人輸入を行う場合は注意

フィナステリドを個人輸入して服用する場合は注意が必要です。法律上は個人による輸入も可能ではありますが、非合法サイトによる模造品を掴まされる可能性があります。また、個人輸入による服用は、医師の診察が伴わないため健康被害に合う可能性もあるため、注意しましょう。

■子づくり中は服用を控えた方が安心

フィナステリドの服用によって子作りに悪影響を及ぼしたという事例はないものの、男子胎児の発育に悪影響を及ぼす可能性は否定しきれないため、子作り期間中は控えた方が良いとされています。研究結果によると、フィナステリドが精子中に溶けだすのは極微量(0.00076%)のため、胎児の健康的な発達に影響しないと言われており、実際に胎児の発達に影響を及ぼしたという事例は今のところありません。

フィナステリドの効果・副作用まとめ

この記事では、AGA治療薬「フィナステリド」の効果と副作用について詳しく解説しました。フィナステリドは高い治療効果が認められており、安全性も高いためAGA治療薬として広く利用されています。ただし、人によっては副作用が発現する場合も0ではないため、医師の診察の元治療を行う方が安心でしょう。

監修医師

TOSHIYA ISHIYAMA
石山 敏也

2014年順天堂大学医学部卒業後、順天堂大学医学部附属順天堂医院に勤務。19年より、新島診療所村医に就任。20年スキンシアクリニック副院長に就任。日本内科学会認定医産業医

参考文献

1)Kawashima M, Hayashi N, Igarashi A, et al: Finasteride in the treatment of Japanese men with male pattern hair loss, Eur J Dermatol, 2004; 14: 247―254(. レベル II)

2)川島 眞,溝口将之,五十嵐敦之ほか:男性型脱毛症 (AGA)に対するフィナステリドの長期投与(3 年間)試 験成績 多施設共同オープン試験,臨皮,2006; 60: 521―530(レベル III)

3)Yoshitake T, Takeda A, Ohki K, et al: Five-year efficacy of finasteride in 801 Japanese men with androgenetic alopecia, J Dermatol, 2015; 42: 735―738(. レベル III)

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