2022.06.16

Interview vol.3 -長谷川竜太氏- 「本来あるべき姿に戻ることで、内面の課題と向き合い、より魅力的な人へ」

株式会社F.PARADE
代表取締役 長谷川竜太

長谷川竜太(はせがわりゅうた)|「F.PARADE=全員でエンターテイメント」を理念に、それぞれ異なるコンセプトをもった美容室5店舗をはじめ、飲食店、ネイル・エステサロンなど全8店舗を展開。アパレル事業も手掛けるなど年々事業を拡大させ、創業10年を迎えた実業家、長谷川竜太氏にインタビューを実施しました。美容師を志し、経営者として現在に至るまでのキャリア、そして今後の展望についてお話を伺いました。

株式会社F.PARADE:https://f-parade.com/
Instagram:https://www.instagram.com/ryutafp/

学生時代に形成された「仲間とともに勝つ」というコアバリュー

北海道の旭川で生まれ育ち、将来は教員になるつもりで、高校は進学校に入学しました。ただ高校の制服が上下黒の学ランで、母親から「全部黒になっちゃうから、髪の毛染めてけば?」と言われ、美容院に行って茶髪に染めて学校に行きました。当然ですが、進学校だったので茶髪が僕一人で完全に浮きましたよね。笑

茶髪にしたことで周りからチヤホヤされたりして、思春期だったこともあり、髪や洋服など容姿に関わることを意識するようになりました。当時流行っていたポールスミスをよく買っていたのですが、購入していたお店の社長からアルバイトに誘われ、高1の終わりからはアパレルのバイト、部活のバスケ、あとはバンドやクラブに行ったりと趣味一色の高校生活でした。なので勉強とはほぼ無縁の高校生活を送ってました。笑

学生時代を振り返ると、父が経営者だったこともあり、基本的に家に親がいなくて、特に幼少期は一人で過ごす時間が圧倒的に多かったですね。そのためか、多分寂しがり屋で、仲間と過ごすことが好きなんです。

例えばですが、ゲームとかやると、対戦よりも一緒のチームで相手と戦う方が好きで。バスケやバンドもそうでしたが、「仲間とともに」ということにやりがいを感じていました。この「仲間とともに」ということは、いまの僕を形成しているコアな部分だとも思っていて、今も大事にしています。

高校卒業の進路はアパレルの道に進むことも考えていました。バイト先がセレクトショップとして経営されていたので、D&Gなどのハイブランドの洋服にも触れる機会が多く、パリコレやファッション関係の雑誌はよくウォッチしていました。当時はデザイナーのアントワープシックスが活躍していた時代で、学生ながらアパレルのデザイナーっていいなと感じてました。

ただバイト先の社員さんのお給料が、手取りで15万くらいだということに衝撃を受け、流石にビジネスとしてアパレルをやるのは大変なんだなと。なので、当時はドラマやメディアの影響から美容師ブームということもありましたが、容姿に関わる仕事をしたいというところから美容師を志すことにしたんです。

写真:長谷川竜太氏

目標から逆算し、成長機会を求めたスタイリスト時代

美容学校は都内の学校に入学したのですが、高校時代趣味に走りすぎたこともあり、夜間部の学校しか合格せず、仕方なく夜間部の学校に通ってました。週7でバイトをし、学校があれば夕方から美容学校にいく、そんな生活でしたね。

30歳までには独立しようと目標をたて、卒業後は原宿の美容室に入社しました。そこのサロンは当時日本で一番厳しいといわれていた美容院で、当時は美容師ブームで美容学校への入学者数も歴代で最大の世代だったこともあり、入社倍率は20倍。いざ入社したものの、想定よりも厳しい環境でした。

厳しいというのも建設的なものであれば問題なかったのですが、いわゆる行き過ぎた厳しさ、今の時代だと到底許されないような体育会気質のものです。入社して2カ月くらいでしたが、30歳までにお店を出すという目標もありましたし、自分の想うところとのギャップも大きくなっていたので早々と辞める決断をしました。今振り返ってもいい判断だったなとは思います。

2店舗目はほんとにラッキーなかたちで入社させてもらいました。1店舗目をやめた後に、当時美容師が溢れていたので中々中途入社できる美容室がなくて、繋ぎでレディースアパレルで働いていました。

アパレルの店舗が代官山だったのですが、どこか中途募集している美容院ないかなと、昼休みに飛び込みで聞いて回っていたんです。そこで真っ赤で目立つお店を偶然見つけて、飛び込みで「採用募集していますか?」と聞いてみたら、「してるよ、いまから働ける?」という、まさかの返事で入社させてもらいました。笑

そこには美容師1年目の途中から入社し、その後1年間ほど休みなく練習や撮影に同行してスタイリストになりました。自分なりに努力もした結果か、スタイリストになってから1年弱ほどで売上1位になることができました。

ただ振り返ると、技術があるというよりも、自分の接客スタイルやセンスである程度売上が出せると驕り高ぶってました、実際に結果も出ていましたし。あとは当時エビちゃんと押切もえちゃんが全盛期で、「エビちゃん、もえちゃん、どっちにしますか?」という感じで2,3年商売できちゃったんですよね。技術が特になくても、カラー提案して、仕上げに巻いてあげて、と。

そのような中で、技術も足りてないし、売上1位となると周りのスタイリストも特に技術について教えてくれることもなくなっていきました。30歳までに独立するという目標もあったので、技術に対して徐々に焦りを感じ始めたんですよね。このままだとヤバいなって。そこで自分を見つめ直し、やり直そうと考え、3年お世話になったのちに原宿の店舗に転職しました。

3店舗目の原宿の店舗は北海道時代にお世話になっていた美容師の方が経営していた店舗です。そちらでも3,4年働かせてもらい、こちらでも本当にお世話なりました当時は撮影にも非常に勢いがあったので、当時史上最年少でインレッドの巻頭をやらせて頂いたり、貴重な経験を積ませて頂きました。

写真:長谷川竜太氏

人と人とでスーパーアナログに、お客様へトータルコーディネートを提供したい

30歳までに独立するという目標の他に、発展途上国の人たちをカットする、お客様にトータルコーディネートを提供するという2つの目標があるのですが、24歳のときにカンボジアにご縁あって行くことができて、2つ目の目標が実現できました。バッタンバンという町に訪れ、孤児院の職業訓練校でカットの指導をしました。

目標のひとつが実現できたものの、当時感じたことは想定よりも異なるものでした。孤児院の子供たちは靴は履いてなかったんですが、みんな携帯は持っていたんです。靴よりも便利だから携帯が欲しいと。じゃあその携帯はどこから来ているのかというと、日本などの先進国で使い古された携帯がカンボジアに流れ着いて、その中古端末がインフラになっていたんです。

つまり、進化の早いものに世の中が動かされていくなと。スタンダードとなるものが常に新しくなることで、結果的に発展途上国の底上げにも繋がっているのではないかと。僕らが一人一人になにか働きかけていくというより、今の美容業界を進化させてアップデートしていくことによるリサイクルルーティンというか、その流れが発展途上国の底上げに繋がるんじゃないかな、と当時感じたことを覚えています。

しかしながら、今考えているは全くの逆で、「一人一人に働きかけること」の方が大切だと感じるようになっています。というのも、美容業界って大きな進化がないんですよね。もちろん薬剤やトレンド、SNSを活用した集客方法などソフト面は変わったところもありますが、ハード面ではこの10年でほとんど変わらずにきてて。ハサミやシャンプー台など、圧倒的に変わったかというと大きな変化はなく、「波がないところに波は立たない」そう感じています。

一人一人に働きかけることの方が大切だと感じたこととして、つい先日カンボジアの生徒からDMがきたんです。「先生、小さなお店だけどサロンオープンしたよ。先生に教わって本当によかったです」という内容でした。一人一人としっかりと向き合って働きかければ、今は小さくとも「波はたつんだな」と嬉しく思いました。

このようなこともあり、人と人とでスーパーアナログに、どっぷりサービス業に人生かけようかなと考えています。これはお客様に対しても同様で、3つ目の目標にも繋がりますが、お客様へトータルコーディネートでの価値提供を実現したいと思っています。

美容院、飲食店、美容サロン、アパレルなどをひとつの場所に集約し、パーソナルにご提案できるコンシェルジュ機能を備えた、トータルコーディネートを提供する場所を作ると面白いんじゃないかなと思っています。我々も知名度は高くはないですが、やってきたことの実績には自信がありますし、アパレルブランドとのコラボなどもできると感じています。きちんと絵を描け、これらを実現できる方は中々いないと思いますし、チャレンジしていきたいと思っていますね。

ちょうど最近コラボで靴も販売することになり、ハンドメイドで加工するスニーカーなのですが、こちらもトータルコーディネートの一つとして取り組んでおり、常に面白いことを模索しています。

「F.PARADE」のFはファッション、ファミリー、ファンという意味を込め、PARADEはエンターテイメントを意味しています。エンターテイメントの定義が、ストーリーがあってキャラクターがいて直観的であることと定義しています。理屈ではなくて、「なんかこの人好き」と思われなきゃいけないし。オシャレはロジックで作れますが、「あの人好きかも」というのは直感、感性だと思います。そこを重要ししながら、トータルコーディネートを提供するという目標は必ず実現したいと思っています。

写真:長谷川竜太氏

本来あるべき姿に戻ることで、内面の課題と向き合い、より魅力的な人へ

NOFATEとの取り組みで感じることとしては、薄毛治療というのは、「本来あるべき姿に戻ること」なのかなと捉えています。あるべき姿があったとしたときに、髪の毛がないから、自分を卑下してしまうことは精神的にマイナスじゃないですか。フラットに戻ることで精神的に安定すると思い、まずは「自分の本来あるべき姿に戻ること」、これって悩む人にとってはすごく重要だと思うんです。

宮崎のサーフィン仲間がAGA治療をして、2年ぶりくらいに会ったらものすごく回復していました。そんな彼が言っていたのが、「薄毛は風邪だから!笑」と。薄毛は風邪と一緒で治療できるもの、やるかやらないかの差であるだけであって。本来あるべき姿の自分に戻ることができ、そして自信が持てるのであればすごくいいことですよね。

また、外見の悩みで精神的にマイナスになるのは防ぎたいですよね。いくら美容院にいって髪を切ったり、おしゃれな洋服を着たとしても、最終的には内面の方が重要だと思っています。ほんとに高めるべき課題は内面であり、人の魅力はそこにあると思うので。なので内面と向き合う前に外見で悩んでいる場合、治せるものであれば解決したいですよね。課題に集中できる男性になるためには、外見を本来あるべき姿に戻すことは重要な気がしていて、そういう意味でお客様に本来の課題に集中できる環境にしたいと思っています。

僕も外見がカッコよければいいでしょ、と昔はすごく思ってましたが、年齢を重ねて感じるのは、やはり内面だなと。30歳くらいの僕と今の僕では、今の方が自信があります。例えば恋愛においても、外見に惹かれた女性はすぐに離れてしまうとも感じているので、やはり課題である内面に集中するために、外見の課題は本来の状態に戻すことが大事だなと。

僕らの理念を刷新したのですが、「魅せる技術と全員接客で人生を応援する」というものにしました。僕たちはあくまで裏方として応援させて頂いているというスタンスですが、お客様がより魅力的に、自信をもって生きられるように少しでも貢献できればと思っています。

写真:(左)水野和樹 (右)長谷川竜太氏

MEDIA一覧へもどる