2022.11.29

Intetview vol.5 -坂口貴徳氏-「美容師という仕事は、人の人生を変えられる力をもつ」

株式会社CHAINONエンターテインメント

代表取締役 坂口貴徳

株式会社C.I.Gホールディング代表取締役
日本美容改革推進協会代表理事

坂口貴徳(さかぐちたかのり)|「美容業界の可能性を最も開花させる!」をビジョンとして掲げ、美容室などサロン14店舗を展開し、経営者が150名在籍するオンラインサロンも主宰するなど、美容業界の発展に尽力している実業家、坂口貴徳氏にインタビューを実施しました。美容師を志し、経営者として現在に至るまでのキャリア、そして今後の展望についてお話を伺いました。

株式会社CHAINONエンターテインメント:https://chainon-hair.com/
Instagram:https://www.instagram.com/chainon_sakaguchi/

美容師という仕事は、人の人生を変えられる力を持つ

僕の幼少期は太っていて、容姿には自信がなく、赤面症で引っ込み思案。世の中をずっと斜めから見ているような学生でした。アニメが好きのオタク、といった感じで。

服はスーパーで買ってもらった1着1,000円くらいの服を着て、髪も床屋にいくか母親に切ってもらうかという感じでした。親には申し訳ない表現ですが、当時を振り返ると正直人生諦めていた自分がいます。

そんなときにニューヨークニューヨークという美容院のチラシが入っていて、母親が「行っておいで」と言ってくれました。それが初めての美容院で髪を切ってもらうという体験で、思春期ど真ん中の中学2年のときでした。

当時はニキビもできるし、容姿にも一層自信がなくなっている時で、女の子にもいじられて怖がっていた中学生でしたが、勇気振り絞って美容院に行ってみたんですよね。

行ってみたら床屋と全く違ってオシャレで、スタッフのみんなもオシャレですごくわくわくしたのを覚えています。髪型もそうですが、ワックスもつけてもらってカッコよくしてもらったんですよ。

そうしたら、周りから「めっちゃカッコイイじゃん!」と初めて容姿で褒められて、すごく自信に繋がりました。そこから1年半くらいそこの美容院に通ってみることにしたんです。

それまでは髪を切ることが億劫で仕方なかったんですが、美容師さんから「ここで服買ったらいいよ!」とか、「これやったら痩せるよ!」というアドバイスももらえて。まさに信頼関係ですよね。見ず知らずの自分のために、友達でもないのに様々なアドバイスをくれる関係ってすごく不思議で、魅力的でした。

当時の僕からしたらオシャレでカッコイイ年上のお兄ちゃんという距離感で、自分自身にとってはすごく影響力がありました。色んなアドバイスをもらった結果、容姿に磨きをかけて彼女ができたりと、美容師さんから情報をもらい、人生が変わる原体験を得ました。

そのような原体験の中で「美容師という仕事は、人の人生を変えられるんだ。」と強く感じ、美容師を志しました。

美容師の社会的地位を向上させたい

しかしながら、僕が美容師になったときの美容師の社会的地位はすごく低くて、新卒時代は総支給が十数万とかの時代でした。労働環境も劣悪ですし、やりがいだけでやってる人が多い時代だったんですよね。

僕自身も、朝から仕事して、夜までしっかりレッスンしてましたが、給料が少ないからバイトしたり副業したりと、色々してなんとか食つなぐような若手時代でしたね。笑

また、当時付き合っていた彼女の親御さんにお会いした時に「美容師はダメだ」と一喝され、僕は誇りをもって美容師という仕事をしていましたが、世の中からみたら美容師の社会的地位は低いんだと認識させられた瞬間でした。

そのような評価に違和感をもち、美容師の価値を上げたいと強く想うようになりました。価値を上げるために、今では労務環境を整える団体を作ったり、自社では給与水準を上げたり、休みを多く取れるようにしてプライベートを充実させられるように整備してきました。

写真:坂口貴徳氏

苦しい独立の船出の時に助けてくれたのは「コミュニティ」

独立したときは当時32歳の時でした。新卒で就職したところで2年、その次の会社で10年くらい勤めていましたが、仲間5人と独立してみようということになったんです。

ただ開店直前で仲間たちが「やっぱり辞める」ということで、急遽一人で独立ということになったんですよね。

テナントは5人想定で計画していたので、流石に一人では厳しいなということで、妻に「子供小さくて申し訳ないけど、お店入ってくれない?」ということで、夫婦2人で始めました。ただそれでも厳しいなと思っていたところで助けられたのが西野亮廣さんのオンラインサロンでした。

オンラインサロン内でオープンすると声かけしたところ、新規顧客が100名以上来てくれたんですよね。そこで「コミュニティってすごいな!」と実感したことは大きな経験でした。

西野さんのオンラインに入るきっかけは、西野さんの本を読み、一緒に仕事をさせてもらったことがきっかけです。当時、本を毎月10冊読むことを日課にしていたのですが、当時組織論で悩んでいることもあり、西野さんの書籍を読んだときにすごく感銘を受けて。そこから西野さんと一緒に仕事をしようと目標に決めて、西野さんの講演会を手伝ってみることにしてみたんです。

その時の懇親会で西野さんとお話させて頂くこともでき、西野さんからNORAの広江一也さんをご紹介頂きました。実は最初の店舗の1年弱くらいは、NORAさんが入る予定だったところをお借りさせて頂くなど、ありがたいご協力も頂けました。今も関係は続いていますし、非常にありがたいご縁です。

今では僕もオンラインサロンを主宰するまでに至り、経営者が140名、サロン総年商が250億円を超えるなど、非常に大きなサロンに育っています。コミュニティの力を実感できたからこそ、今後はこのオンラインサロンから美容師の価値向上に努めていければと感じています。

個性のかたまりである美容師がより輝ける環境を

独立から3年9カ月で14店舗まで拡大し、これまで自己資本でやってきました。「きれいごとをかたちに」というテーマでシェノンを経営していますが、そのテーマを掲げ始めたときは、周囲から「きれいごとで周囲を騙して巻き込んでいる詐欺師や」と批判されることもありました。自分は純粋な気持ちで業界を変えたいと思いからこのテーマを掲げており、やりたいことを実現できるような組織にしていきたいと。

美容師というのは元々個性のかたまりであって、サラリーマン気質ではないんですよね。それに対して一般企業のようにならなければならないというような動きが10年前くらいから進み始めたんです。

そのような動きから美容師の個性が薄れ始めた気がしていますし、実際にもっと色々やりたい、可能性を追求したいという美容師が多いことにも気づきました。そういった美容師を束ねたら面白いのではないか?と感じたときに、個性を最大化するビジネスとはなにか?ということを考えたときにタレント事務所が近いなと感じました。

そのため、シェノンでは個性を引き出し、何をしたいのか?を丁寧にヒアリングし、その個性を引き出し、応援するための個人ごとオリジナルのカリキュラムを作り、「ここまで結果出たら、いくら投資するよ」といった感じです。シェノン=こういう美容院というものはなく、様々なカラーのある美容師集団がシェノンですね。

現在では、インテリアデザイン、ボディジュエル、花屋などを同時にやりたいといった美容師が在籍しており、単に髪を切るだけでなく、美容師をやりながら自身がやりたいことを思い切りやってもらっています。

写真:坂口貴徳氏

何事にもNOと言わず、実現可能までの道のりを楽しみたい

やりたいと言ってくれたことに対して、基本的にノーを言わないことが私のポリシーです。ノーと言えばその場は楽かもしれませんが、可能性の芽を詰んでしまいます。よって、僕はどうやったら実現できるか?を考え、実現までに至るプロセスを楽しむことを意識しています。

事例として、シェノンの男性スタッフの妹さんがネイリストをしていて、「前の職場が劣悪で、病んでしまってやめることが決まっているんですが、雇ってもらえませんか?」と相談を受けました。

ネイルは元々やるつもりがなかったのですが、「オッケー!とりあえず1カ月レセプションやってもらえない?」とだけ伝え、「さて、どうしようか・・・」と必死に考えました。笑

ちょうど当時、美容院の隣のテナントが安かったので抑えてたんですよね。元々整体をやるつもりだったんですが、コロナ禍で難しいなと感じたいたので、「じゃあネイルの部屋作ってネイルやるか!」と無理くりネイルのお店を作りました。

結果お店も順調にはきてますし、何よりその兄妹がすごく頑張ってくれているので、ノーと言わずそのような意思決定をしてよかったなと感じています。

僕の生き方がわくわくすることをやりたいというのがあって、泥臭いのが好きというか、試行錯誤しているときが生きている実感を得られるので、未知との遭遇が好きので、誰よりもチャレンジし、誰よりも働くことにこだわっています。

そういう姿勢でいるからスタッフも楽しみながら働いてくれているのかなと思います。逆にスタッフには「休め!」と日々言っています。笑

休みの日は「推しのライブに行け!」とか。プライベートが充実するとパフォーマンスも上がりますし、エンゲージメントも上がるんですよね。

例えばスタッフが友人と遊んでいる時に「うちのお店ってこんな感じなんだよね!」とリファラル採用にも繋がっています。安定志向ではなく、わくわくしてチャレンジしたいという子が集まってくるので好循環に繋がっていますね。

世の中を変えるヒーローを100人で、美容業界から社会をよりよくしたい

以前までは自社で何十店舗か出したいと思っていいましたが、現在では影響力を意識して活動しています。主宰しているオンラインサロンでは、140名の経営者が在籍し、サロン総年商は250億まで拡大しており、このコミュニティが動けば少なからず大きな力が発揮できると考えています。

そういった視点で影響力をつけることを意識し、自社で拡大というよりも、影響力をつけ、コミュニティで大きなムーブメントを起こしていきたいと考えています。

最近ですと創業80年の老舗メーカーから社内改革の依頼も来ています。僕個人としても影響力がついてきて手ごたえを感じています。今後も業界の地位が上がることならなんでもするつもりで取り組んでいきたいと思っています。

直近の目標などは具体的に決めてはいないですが、人生のミッションとして「世の中を変える100人のヒーローをつくる」というのを掲げています。自分自身が現在10億円の年商なので、いまの自分が100人いるイメージです。10億を100人でやれれば1,000億のユニコーンですし、そういう集団をつくることがミッションです。

そのような集団ができたときの影響力を考えるとすごくわくわくしますし、美容業界から社会をよくしたいと心から想っています。

美容と医療の懸け橋として「人生は、変えられる」

やはり「人生は、変えられる」というミッションに共感でしかなかったですよね。

あとは美容室の可能性を広げられるコンテンツだなと。美容と医療を繋ぐ架け橋というのはなくはなかったですが、NOFATEの仕組みであればよりカチッと広がるイメージを持てました。また来られたお客様も情報がないというのも実体験であったので、美容師から紹介できたらすごく喜んで頂けるかなと。

あとは現場のフォローアップの仕組みだったり、オペレーションの建付けなど、インフラの整備をして頂けたらもっと広がるなと感じています。 今の美容師は髪を切るだけでなく、SNSやったり動画編集したりとやってる領域がすごく多いですし、すごく頑張ってます。一方で負担が大きくなってきているので、このような状況下で詰め込んでしまうと逆効果なので、そのあたりを工夫しながらインフラ整備を実施していただけたらと思っています。

写真:坂口貴徳氏
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